大人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の【第1期】【第12話】である
#12「はばたきのとき」
…の私なりの「考察」をまとめてみました。
内容を知らない方のために
「あらすじ」「ネタバレ」「感想」
も合わせて記載しています。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期12話】のあらすじ
懸命の特訓の甲斐もあって、見事「ラブライブ!」予備予選に合格したAqours。
PVの再生数も伸び、ファンから直接声をかけられることもあるなど、Aqoursメンバーは予想以上の反響に喜ぶ。
しかし、Aqoursのスクールアイドルとしての盛り上がりとは裏腹に、併せて募集していた浦の星女学院の学校説明会への応募人数は、またしても”0“だった。
音ノ木坂を救ったμ’sと自分たちとの違いは一体何なんだろう。
考えても考えても、どうしても答えが見つからない千歌は、もう一度東京に行ってみんなで考えたいと、再びμ’sが過ごした場所を訪れるのだったーー。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期12話】のネタバレ
ここより下記はすべてネタバレ的な項目となるので、目を通す際にはご注意下さい。
予備予選の結果発表前、落ち着かない様子のAqours。
合格者の中を見ていくと…Aqoursの名前がある!喜ぶメンバー。お祝いにお刺身を振る舞う果南。
そんな中、ルビィがPVの反響を報告すると、全国に出てくるかもとスクールアイドルとして注目されていることが分かる。
ちょうど梨子から千歌に電話がある。
予備予選突破とともに、ピアノコンクールでも探していた曲が弾けた気がすると、お互いに良い報告ができた。
次は全員で歌おうと楽しみにしている曜を見て、千歌も喜ぶ。
いよいよ学校説明会の参加者も増えているのでは、と見てみると、そこにはまたしても「0」の文字が。
PVの反響や、予備予選の帰りに果南はサイン、曜は写真、ルビィは握手などを求められるのに、入学希望者に結びつかない。
μ’sは同じ時期には廃校を阻止していた。浦の星は放っておいても人が集まるわけではないが、それを言い訳にはできない。
μ’sとの違いを、もう一度千歌は考えてみることにする。美渡姉が声をかけても気づかないほど考え込むが、行ってみるしかないとAqoursメンバーを誘って東京に行こうと誘う。
梨子は帰る日を1日ズラして、東京駅で待ち合わせる。梨子は「お土産」として沢山の薄い本を駅のロッカーにしまって、久しぶりに9人が揃う。
まずは神社に行って、凄い人から話を聞けるように、千歌は段取りを取っていた。
ダイヤとルビィは、μ’sとのことを、神田明神で、凄い人から聞くと言われて勝手にはしゃぐも、神田明神にいたのはSaint Snowだった。
Saint SnowもAqoursと同様に、A−RISEやμ’sと何が違うのか考えたことがあったという。
しかし、答えは見つからなかった。
勝って、追いついて、同じ景色を見るしかないうのがSaint Snowの答えだった。Saint Snowの答えを聞いて、千歌はSaint Snowに尋ねる。
「ラブライブ!勝ちたいですか?」
勝ちたくなければ、なぜラブライブ!に出るのかと聞き返す聖良に、千歌は答えられなかった。
ちょうどそのとき、聖良からラブライブ!決勝大会の発表があるから見に行こうと言われ、UTX前のビジョンを見に行くAqours。
梨子は、アキバドームで行われることが発表されて少し気圧されている他のメンバーに、音ノ木坂に行ってみようと提案する。
ピアノを弾けたから今なら行ってみたい。それが梨子の素直なきもちだった。
音ノ木坂の校舎を眺めるAqoursに、音ノ木坂の生徒が声をかける。
μ’sを追いかけて、ここを尋ねるスクールアイドルが多いが、μ’sはここには何も残していかなかったという。
「自分たちのものも、優勝の記念品も、記録も。ものなんかなくても、心は繋がっているからって。それでいいんだよって。」
すると、少女が階段の手すりに腰掛け、滑り降りていった。
千歌は微笑み、少しだけどヒントを得られた。梨子は音ノ木坂が好きだったことがはっきりわかったという。
9人は自然と校舎に向かってお辞儀をし、お礼を言うのだった。
ふと、音ノ木坂の生徒はいなくなっていた。
帰りの電車の中で、3年生がμ’sとの違いについて語り合う。
結局、ダイヤと鞠莉ははっきりとはわからかった。ただ、果南はSaint Snowのようには思えない、1年生の頃の自分のようだと言う。
千歌は音ノ木坂の生徒の言葉を思い出し、電車を降りて海を見に行こうと提案する。
そこには大きく広がる海と、綺麗な夕日が輝いていた。
千歌はμ’sの何がすごかったのか、気づいた。
追いかけては、比べてはいけないんだ。
μ’sも、ラブライブ!、輝きもーーそれを聞いた果南と梨子も悟る。
1番になりたい、誰かに勝ちたい。
そうではなく、μ’sは何もないところを思い切り走ったことなのだ。
自由に、まっすぐに。
μ’sみたいに輝くというのは、背中を追いかけることではなく、自由に走ることなのだ、自分たちの気持ちに従って、自分たちの足で走ることだ。
自由に走ったらバラバラになってしまう。
千歌は「0」を「1」にしたい、あのときのままで終わりたくない、と向かいたいところを宣言する。
ついに本当の意味で1つになったAqours。
円陣を組んで手を重ねたとき、曜は人差し指と親指で0を作り、0から1へ、としようと提案する。
海辺で0から1へ、全力で輝こうと、みんなの意思が1つになった。
千歌は、μ’sを追いかけるのではなく、みんなと一緒に、自分だけの景色を探すことを決意する。
電車のホームに、白い羽が舞い降りた。
千歌はその羽に気づいた。千歌は部屋のμ’sのポスターを剥がしたのだった。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期12話】の考察
① μ’sという存在
これまで、μ’sはAqoursにとって大きな目標として描かれてきた。
千歌はμ’sの輝きを見て、μ’sのように輝きたいと強く願うようになった。
ダイヤとルビィにとって、μ’sはいちスクールアイドルとして以上に、単純に大ファンでもある。
梨子はピアノで悩む自分をスクールアイドルに入るきっかけとなった曲がμ’sの「ユメノトビラ」だった。
花丸はスクールアイドルに向いていないという自分と、μ’sの凛とを重ね、目標として頑張ってきた。
果南は、Saint Snowのように勝つことに執着できない、と語る。鞠莉もそれには概ね同意だろう。
サンシャイン‼︎の中でSaint Snowも語っている通り、A−RISEと特にμ’sの存在は伝説的なものとなっている。
それもそのはず、サンシャイン‼︎#1の千歌がUTXのビジョンを見たとき、μ’sが第2回大会優勝者として表示されていた。
(第1回大会や第3回以降の優勝者も表示されるループの中で偶然μ’sのタイミングだったのかもしれないが、「second winner μ’s」の表示の際にμ’sの9色のライトが出ていたことやSaint Snowの発言からも、μ’sは「ラブライブ!」運営側ですら特別視している可能性もある)
千歌にとって、μ’sはスクールアイドルを始めるきっかけであり、「輝きたい」という願いを具体化するきっかけでもあった。
#3でスノハレみたいな曲を作りたいと発言したり、練習場所を探すときにμ’sも屋上を使っていたというルビィの発言で目を輝かせたりしている。
常に「μ’sは」「μ’sなら」ということを考え、多くのスクールアイドルもそうだろうが、μ’sを1つの手本として模索してきた。
しかし入学希望者はμ’sがしたようには行かない。
μ’sとAqoursの違い、差はなんだろうかと考えるのは当たり前だ。
そして音ノ木坂を訪れると、通りがかりの生徒が、多くのスクールアイドルが来ることを話す。
何も残していかなかったこと、心は繋がっていること。
μ’sはμ’s。
AqoursはAqours。
千歌は「輝き」対して答えに近づくヒントを得た。
μ’sになることはできない。
ただ、μ’sがどうやって輝いたのか、その輝き方だけ残していったのだ。
何にもとらわれずに、自由に走る。これは正に#4で花丸に、#5で善子に千歌が言っていたことに重なる。
「できるかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ。」
「自分の「好き」を迷わずに見せること」
スクールアイドルが好きならば、その好きな気持ちをステージで、自分たちで考え、表現する。
メンバーそれぞれ、表現することは少しずつ違うかもしれない。
千歌はスクールアイドルが好きな気持ち。
梨子はピアノと音ノ木坂が好きだった気持ちを思い出させてくれた感謝の気持ち。
曜は初めて千歌と一緒に夢中になれる喜びの気持ち。
ルビィは憧れのスクールアイドルに、花丸となれた喜び。
花丸はルビィを変え、自分も変えてくれた感謝の気持ち。
善子は普通ではいたくない、「堕天使ヨハネ」を思い切り受け入れてくれることへの感謝。
果南は大好きな鞠莉と本音で向き合うことができた喜びの気持ち
鞠莉は果南とダイヤが自分のことを思い、自分も2人のことを大切に思う気持ち。
ダイヤは果南と鞠莉のすれ違いと仲直りを見て、愛する妹の思いを受けて、それら全てを含めてスクールアイドルとして立てる喜びの気持ち。
それぞれに思いは違っても、目指す場所は1つ。
「0」を「1」にすること。
イベント得票数の「0」、入学希望者の「0」。
3年生にとっては、2年前のイベントがきっかけで解散したことを考えると、ラブライブ!にエントリーすらしていなかったはずだ。
そうなると3年生にとってスクールアイドルをしていたが、ある意味でその活動は「0」に限りなく近かったともいえる。
μ’sは何もないところを走り抜けた。
Aqoursも、何もない「0」から始めることをみんなで確かめ合った。
μ’sにはなれなくても、μ’sがμ’sなりに輝いたように、AqoursもAqoursなりに輝く。
「0」から「1」へ。
それを忘れないように円陣を組むAqoursは、μ’sとAqoursの差ではなく、μ’sとAqoursの違いを前向きに捉えて帰ることができたはずだ。
駅で白い羽を見つけた千歌。
今まで羽が落ちてくる演出は何度もあったが、その度に千歌は気づいていなかった。
しかし今回は羽に気づいていた。
この駅はμ’sが「おしまい」を宣言した場所だとオフィシャルファンBOOKで酒井監督が明言している。
μ’sの「おしまい」を決めた場所が、Aqoursの本当のみでの「始まり」の場所となっている。
さらに羽を受け取った千歌は、無印第2期EDのμ’sメンバーと重なる。
この羽は、μ’sが日本中のスクールアイドルを夢見る人たちに送った夢そのもので、μ’sの凄さとAqoursのこれからを感じることができた。
だから、今まで気づかなかった羽に気づけた。
また、少し話を戻して音ノ木坂で校舎内を映すシーン、屋上の場面で鳥が9羽飛んでいるのが確認できる。
μ’sの9人は、雲ひとつない空を自由に駆け回り、日本中に自分たちの羽を届けた。
そしてそれが駅で千歌が見つけた羽なのだろう。
最後、自室のμ’sのポスターが剥がれている演出がある。
ファンならわざわざ剥がさなくてもという意見もあるが、やはり実際にはないであろう不自然なことを演出として組み込むことで、千歌のμ’sへの思いとAqoursとしての方向性の変化、進化、深化を表現しているのは明らかだ。
AqoursはAqoursらしく輝きを求めて走り出すことの決意が現れている。
② 無印との繋がり
何度となくμ’sの名前が出てくるサンシャイン‼︎の中で、今回は特に無印を彷彿とさせる描写がある。
「東京」「神社」、「すごい人」のキーワードから、多くの視聴者が東條希を思い浮かべただろう。
色紙を持って期待を膨らます黒澤姉妹。
がっかり具合から明らかに東條希を期待している様子だった。
その後、AqoursとSaint SnowがUTXで話をする場面を見て、μ’sがA−RISEとUTXで話をした場面を連想した視聴者は多いだろう。
A−RISEはμ’sに多くの影響を与えた。
スクールアイドルを始めるきっかけ、スクールアイドルの可能性、μ’sを突き動かす原動力。
Saint SnowもAqoursに大きな影響を与えた。
スクールアイドルの厳しさ、μ’sやA−RISEとの違いのために勝ち続けること。
「勝ち続けることでA−RISEやμ’sと同じ景色を見ることができる」
「勝ち続けるしかない。」
Saint Snowの憧れは「勝つ」ことを目的にさせた。
そんなSaint Snowに疑問をもった千歌は「勝ちたいですか?」と聞く。
これは「輝き」を目指している千歌にとって、勝つことが全てという考えにどうしても共感できなかったからだろう。
もちろん、「輝き」を得るために「勝つ」ことは必要になるが、果たして勝ちさえすれば答えが出るのか。
穂乃果が綺羅ツバサに原動力は何か尋ねられて戸惑ったように、千歌も聖良に勝ちたくないのになぜラブライブ!に出るのか尋ねられて戸惑う。
μ’sもAqoursも、自分たちは何を目指しているのかを考えさせられるという点で似ていると言える。
音ノ木坂を訪れた際にもある。
通りがかりの生徒はまるで凛の髪型をした小泉花陽のようだ。
「μ’sの人たち、何も残していかなかった」という発言から、μ’sの1年生の更に年下と考えることができる。
μ’s1年生も卒業していなくなったから「何も残していかなかった」と言える。
スクスタでは時間軸は同じ(穂乃果と千歌は同い年)だが、HPT 2nd Live Tourで公開された動画であの鞠莉が花陽のことを「花陽さん」と言っていた。
伝説のスクールアイドルとして尊敬の念を込めていることもあるが、海外生活が長く、敬称などの日本独特の文化を使っているあたり、花陽の方が実際は年上と見ることが妥当だろう。
そして、階段の手すりに腰掛けて滑る少女。
結び方こそ反対だが、もはや小さい頃の穂乃果そのままである。
その母親はほとんど園田海未。
少女のしていることも穂乃果がかつてしていたのと同じ。
作品としてのオマージュもあるが、この少女も千歌たちのようにμ’sの穂乃果に憧れをもっている1人として捉えてみると、μ’sの凄さを感じることができる。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期12話】の感想
#12は酒井監督が「プレ最終回」のつもりで絵コンテを作ってもらっている。
12話かけて、Aqoursのメンバーが揃って、心が揃って、目指す場所が揃った。
統廃合を止めるためにラブライブ!優勝を目指しているAqours。
でもそれだけではなく、μ’sのように「輝く」ということの答えを求めてAqoursが誕生した、印象的な回だ。