大人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の【第1期】【第3話】である
#3「ファーストステップ」
…の私なりの「考察」をまとめてみました。
内容を知らない方のために
「あらすじ」「ネタバレ」「感想」
も合わせて記載しています。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期3話】のあらすじ
作曲ができる梨子をメンバーに加え、練習に取り組む3人の前に学院の新理事長となった小原鞠莉が現れる。
3人を応援したいという鞠莉が、人数の足りないスクールアイドル部として認める条件は、体育館でのライブを満員にさせるということだった。
全校生徒を集めても満員にならない状況で、思いつくことを手段を尽くす3人。そしてデビューライブの幕が開ける。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期3話】のネタバレ
ここより下記はすべてネタバレ的な項目となるので、目を通す際にはご注意下さい。
浜辺でダンス練習に励む3人。
フォームを曜が、リズムを梨子がチェックしていると、突然小原家のものと思われるヘリコプターが近づいてくる。
そしてヘリコプターの開いたドアから「チャオ!」と挨拶するブロンドの少女が顔を出す。
彼女は小原鞠莉。
新理事長にして高校3年生というムチャクチャな人事を進んで引き受けた、ロックを体現したような人物。
ダイヤの胸をワシワシするなど、叱られると”It’s joke”と言う。
しかし理事長就任はジョークではないようだ。
スクールアイドルを応援するために理事長になったという鞠莉。
ただ、部活動として承認する条件を出す。
「体育館を満員にすること」
「満員にできなければ解散ということ」
3人は全校生徒が集まっても満員にならないことに気づく。
千歌は美渡姉に会社の人たちをライブに来てもらうようにお願いをする。
また、人を集める方法として町内放送で呼びかける、沼津駅でチラシ配りをして宣伝するなど案を出し合う。
部活終わりの高校生を狙って沼津駅でチラシ配りをする3人。
コミュ力の高さを生かして「気持ちとタイミング」で順調にチラシを配る曜。
気合いを入れ過ぎて、見ず知らずの女子に壁ドンで迫る千歌。
引っ込み思案のために、映画のポスターで練習する梨子。
そ子にルビィと花丸が偶然通りかかる。
絶対満員にしたいから来てほしいとチラシを渡すと、ルビィからグループ名を聞かれる。
答えに詰まった千歌は練習しながら3人で考えることにする。
「浦の星スクールガールズ」
「スリーマーメイド」
「制服少女隊」
…良いものが思い浮かばずに困っていると、浜辺に“Aqours”と書かれていることに気づく。
「エー、キュー、アワーズ」
「アクア…水ってこと?」
誰が書いたのかも解らない中でこの名前に出会った。
この名前に運命を感じた3人はAqoursとして活動を始めることとなった。
名前が決まったことで活動に力が入る3人。
チラシ配りにも慣れ、曜は大勢の人を集めて敬礼ポーズをとりながら集合写真を取るほどであった。
神モブこと
「よいつむ(よしみ・いつき・むつ)」
もライブの手伝いを引き受けてくれた。
編曲やダンスのフォーメーションを千歌の部屋で詰めていく3人。
張り切りすぎた曜は終バスの時間を逃してしまうが、志満姉に車で送ってもらう。
その中で千歌は飽きっぽいのではなく、中途半端が嫌いなんだと話す。
ライブはうまくいきそうなのか尋ねられると、うまくいくといいけど、と表情を暗くする曜。
そんな曜に志満姉は大丈夫、みんな温かいからと応援してくれる。
いよいよ迎えたライブ当日。
ライブ前に手を重ねようとするが、千歌は手を繋ごうと提案する。
天気は大雨、みんな来てくれるか不安になる3人。
「じゃあ、ここでやめて終わりにする?」
心にもないことを言う千歌に、思わず笑い出し、3人は勇気をもってステージに臨む。
そして幕が上がると、そこには観客がまばらにしかいなかった。
変装をしている善子。
不安そうに見守る花丸とルビィ。
そしてこれまでの頑張りを見てきたのか、笑顔の鞠莉。
満員にできなかったという現実を突きつけられるが、それでも気丈にライブをする3人。
「目標は、μ’sです。」と宣言して歌を披露する。
花丸とルビィの表情は明るくなり、善子は目を輝かせて見入っていた。
なのに、曲が盛り上がってきたところでまさかの停電に襲われる。
明かりが消え、曲も止まってしまう。
涙をこらえて歌だけは続けようとするも、心が折れそうになる3人。
このまま失敗してしまうのか。
その時体育館の出入り口が開き、美渡姉の声が響く。
「バカ千歌!」
そしてダイヤが裏で非常用発電機電気を使ってくれたおかげで電気系統が復旧する。
明かりが点くと、そこには大勢の地元民が集まっていた。
美渡姉が会社で、よいつむトリオが沼津駅で宣伝をしてくれていたのだ。
おかげでなんとかライブは成功を収める。
しかしダイヤは「これまでのスクールアイドルの努力と町の人の善意があったからこそ。勘違いしないように。」と厳しい声をかける。
千歌はそれを分かった上で、今しかない瞬間だから輝きたいと言い、万雷の拍手を受ける。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期3話】の考察
(1)スクールアイドルとして必要なこと
内浦は都会と比べて人がいない。
田舎でスクールアイドル活動をするために必要なことを鞠莉によって3人が考えさせられる。
人がいない田舎町でどうしたら人を集めることができるのか。
どうして人が集まってくれたのか。
はっきりとした形ではないが、Aqoursにとって一つの体験として大きな意味を持つことになる。
無印では、μ’sは学校が都市部にあることからスクールアイドルとしてパフォーマンスをしていればよかった。
しかしAqoursはどんなにすごいパフォーマンスをしても、人の絶対数が圧倒的に少ない。
しかし、田舎町だからこそ地域の人たちが身近に感じて熱心に応援してくれる。
これは#6「PVを作ろう」への布石となっている。
しかし3人はこの時点ではまだこのことに気づいていない(もしここで気付いていれば#6での試行錯誤はなかったはずだからだ)。
曜に対して志満姉が車の中で「みんな暖かいから。」と励ますシーンでは、曜は志満姉の言葉の本当の意味を曜は気づいていなかっただろう。
しかし単純に上手くいくと励まされたように感じたことは間違いない。
「人が少ないから。」と曜が不安を口にすると、ライブへの熱意が止められてしまっているかのように、車が赤信号で止められてしまう。
しかし志満姉の励ましによって頑張ろうと思い直すことで信号が青になって、また進み始めている。
それでも天候は大荒れで、雷がなってシーンが変わる。
天候や信号などに曜を代表とさせた3人の不安な気持ちや、一筋縄ではいかない未来を暗示している。
(2)ライブ当日を迎えて
ライブ当日にも天気がライブの行方を占うかのような大雨。
そして来てくれるのかな、もし来てくれなかったら、と梨子と曜は不安を口にする。
もちろん千歌も口には出さないが不安はあったはずだ。
しかし、手を重ねるのではなく手をつなぐことで、
「お互いの暖かさ=お互いのスクールアイドルとしての(まだ未熟でも)熱意」
を肌で感じ、安心しようとしている。
また、これまで曜が千歌に対して「辞める?」と何度も聞いて、その度に千歌が「辞めない!」というやりとりがあった。
ここでは逆に千歌が「じゃあ、ここで辞めて終わりにする?」と2人に尋ねる。
千歌は曜が自分を奮い立たせるためにあえて聞いてきていたことを分かっていたのだ。
だからこそ、弱気になっている2人に千歌は答えは決まっていることを敢えて聞いたのだ。
ライブの幕が開ける際も、手を繋いでいるのは3人が熱意と不安を分かち合おうとしていることの表れでもある。
そして会場にはまばらな観客。
人が集まらなかったことで残念そうな表情を浮かべる花丸とルビィ。
普通の女子高生が普通に満足しないでいる姿を見ようとしてきた善子。
そしてこれまでの3人の努力を知っているからこそ、人は少なくても頑張りを認めて嬉しそうに微笑む鞠莉。
なんだかんだでスクールアイドルとしての活動を気にしているダイヤと果南。
無印では、μ’sはファーストライブで観客がいない講堂でライブをし、「この講堂をいっぱいにしてみせる」という具体的な目標をもつことになった。
Aqoursは観客がいたため、ライブそのものに対する具体的な欲はなかった。
しかし、それでも漠然と「輝きたい!」という欲をもって活動してきたし、ここでもそれを宣言することで、「普通」だと思っていた自分自身の殻を破ろうともがいている。
そんながむしゃらな姿があったから花丸、ルビィ、善子は感動し、目を輝かせたのだ。
ここでも、1年生の少し先の未来の姿である2年生の姿があり、1年生たちはそれに憧れてAqoursに対して更に強い興味をもつこととなったのだ。
(3)ダイヤと鞠莉の立場と行動
歌が始まり、精一杯の歌を届けようとしている中、停電というどうしようもないアクシデントに見舞われる。
それぞれができることをしようと、花丸とルビィはせめて近くで応援しようと会場内に入っていき、せめてアカペラで歌を歌う2年生。
さらに注目したいのはダイヤと鞠莉だ。
スクールアイドル活動を認めない態度をとっていたダイヤが発電機を使って協力した。
応援するといっていた鞠莉は厳しい顔つきで3人を見守っていた。
#3の冒頭の立場を考えれば、これはどちらも不自然で、むしろ2人の行動は逆である。
鞠莉が発電機を使い、ダイヤはその場に残っても不思議ではなかった。
ダイヤは表面的には反対していたが、チラシ配りや町内放送、まばらな観客にも精一杯応えようとする熱意を見た。
だから、ダイヤは手を貸そうと動いたのだ。
対して鞠莉は成功か失敗かよりも、むしろこの状況をどうやって乗り越えていくのかを、敢えて手を貸さずに見守っていたのだ。
3人の熱意が本物であったならば、停電というどうしようもないアクシデントにも、暖かい周囲がなんとか力になってくれる。
それを信じて自分は手を出さずに見守っていたのだ。
事実、3人のために動いてくれていたよいつむトリオ、美渡姉により観客が大勢やってくる。
花丸とルビィは人が集まってくれたことによる安心感から笑顔がこぼれたが、鞠莉の笑顔は3人の熱意が周りを動かすほどのものだったことに対するものだろう。
千歌の「私、バカチカだ…。」というセリフは、美渡姉やよいつむトリオが必死に宣伝をしてくていたことに気づいたのと同時に、来てくれた人たちへの感謝の思いから涙したのだろう。
改めて3人が歌いだす「ダイスキだったらダイジョウブ!」はスクールアイドルに恋をしている千歌が書いた(という設定だ)が、
「元気をだしていくよ」
「あつくなる自分見つけたよ このひかりは(きれいだよね) もっとキラリ(まぶしい希望) ダイスキがあればダイジョウブさ」
と自分たち自身を励ましている歌詞にもなっている。
この後に出てくる千歌のセリフ「できるかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ」を歌にしたものだ。
歌が終わり、ダイヤが「これは今までの、スクールアイドルの努力と町の人たちの善意があっての成功ですわ。」と言い放つ。
ここでのダイヤの発言は厳しい言い方ではあるが、ダイヤが鞠莉の本当のねらいを分かっているからこそのセリフだ。
対して千歌の
「わかってます。でも、でもただ見てるだけじゃ始まらないって。うまく言えないけど…今しかない瞬間だから、輝きたい!」
は、ここではまだ3年生の思いに迫るほどの意味はもっていない。
それでも、「輝きたい」という嘘のない欲を表現することで、地域の人たちの心を動かし、万雷の拍手を浴びることができた。
(4)グループ名
いよいよグループ名が決まる回でもある。
3人が練習をしながら案を出し合う
しかし、千歌の「浦の星スクールガールズ」は「普通でそのまんま」な名前だ。
これでは自分を普通怪獣と言うのも仕方がない。
梨子が提案した「スリーマーメイド」は他の2人からスルーされてしまうほどのビミョーなセンスだ。
他のスクールアイドルの名前が後からいくつもでてくるが、センスとしてはそれと同レベルと思わざるを得ない。
曜の「制服少女隊」も、活動の方向性がかなり限定される名前だ。
名前決めに行き詰まる中、浜辺に誰かが書いた”Aqours“の文字を見つけ、千歌は直感で名前をそれに決める。
結局1期、2期、劇場版を通してこの名前の本当の由来については物語中で言及されることはなかった。
G‘zでグループ名が「Aqours」になったのは、(もちろん読者投票で決まったのだが)リーダーである千歌の誕生日の8/1が「水の日」であることに由来しているとされている。
また、舞台となっている内浦は海辺の町で、柿田川という美しい川もある。地域に「水」が溢れているのだ。
キャラクター設定や舞台設定から、「水」が大きな意味をもっていることがわかり、これからの活動の中で「Aqoursの色」として酒井監督は「青」を使っている。
浦の星女学院から見える、美しく広がる海と空は限りなく青く、その青と沼津が豊富にもつ「水」がグループ名に影響してくることは自然なことと言える。
ただ、スペルを変えていることについては一切触れられていない。
これは、ファンが自由に想像することができる余地を残したのかもしれない。
Aqoursの綴りに込められた願いは、また別の記事に考察を譲る。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期3話】の感想
「ダイスキだったらダイジョウブ!」の通り、とにかくダイスキなものに対して嘘をつかず、精一杯のことをすることで、周りの人々を動かしていくことがラブライブ!サンシャイン‼︎の魅力の一つだ。
千歌たちの思いに共鳴したよいつむトリオも、何かしらの形で輝きたいと願っていたし、田舎で普通の会社員として働く美渡姉も可愛い妹が輝きたいと強く願う姿を見て、普通の自分にできることをして応援したくなったのかもしれない。
ここではまだ「輝き」とはなんなのか、答えは全く出せずにいるキャラクター達。
しかし自分の想いに正直になって、目の前のことに精一杯取り組むことは、視聴者に「輝きに向かって動いているか」と問いかけているようにも思える。