大人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の【第1期】【第8話】である
#8「くやしくないの?」
…の私なりの「考察」をまとめてみました。
内容を知らない方のために
「あらすじ」「ネタバレ」「感想」
も合わせて記載しています。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期8話】のあらすじ
ついに始まった「TOKYO SCHOOL IDOL WORLD」。
スクールアイドル「Saint Snow」の圧倒的なパフォーマンスを見せつけられた千歌たちは、その圧倒的なパフォーマンスと自分たちの精一杯のパフォーマンスを披露するが、結果は30ユニット中30位。
そしてAqoursに投票した来場者は“0”だった。
全国レベルの強豪たちと自分たちとの大きな実力差を目の当たりにしたメンバーは、それぞれが悔しさを募らせる。
そんな中、千歌はあくまで明るく振る舞うが、曜は「くやしくないの?」とその心の内を問いかけるのだった。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期8話】のネタバレ
ここより下記はすべてネタバレ的な項目となるので、目を通す際にはご注意下さい。
イベント「TOKYO SCHOOL IDOL WORLD」でAqoursの前に現れたのは昨日神田明神で出会った2人組。
「Saint Snow」の鹿角聖良、理亞と名乗る2人はAqoursの目の前で圧倒的なパフォーマンスを見せる。
東京タワーで暗い表情で景色を眺める梨子と曜、花丸、ルビィ。
善子はヨハネモードで悪魔を召喚しようといている。
そんな中、アイスを買ってきた千歌は今までで1番良かったライブだった、周りはラブライブの本戦に出る人たちばかりで入賞できなくて当たり前だという。
それでもラブライブ!本戦に出るにはそれくらいのレベルでないといけない、Saint Snowでも入賞できなかったことに戸惑ったという曜やルビィ、花丸に、善子は天界が放った魔力によって…と慰めようとする。
そんな中、千歌の携帯に電話がかかってくる。
会場に戻ると、イベントでの得票数一覧を渡し忘れていた、と言われる。
Aqoursは30組中、30位。得票数は0。
落ち込むAqoursの前に現れたSaint Snowの聖良はμ’sのようにラブライブ!を目指すなら諦めた方が良いと告げる。
そして理亞は涙目になりながらラブライブ!は遊びじゃないと言い放つ。
入賞できなくて悔しかった理亞に言われた一言にショックを受けるメンバーの中、イベントに呼ばれただけでも凄いことだ、胸を張って良いことだという。
曜はそんな千歌に尋ねる。
「千歌ちゃんは、くやしくないの?」
「私はみんなで立てて嬉しかった」と答える千歌に、曜はうつむきながら「そっか」とだけ言う。
沼津に帰ってくると、クラスメイトが迎えてくれた。
イベントの出来を聞かれ、今までで1番ミスが少なかったというと、本気でラブライブ!決勝目指せるんじゃないかと言われ、戸惑う表情を見せる2年生。
そこにダイヤが現れると、ルビィはついにダイヤに抱きついて号泣してしまう。
みんな泣きじゃくるルビィを見ながら、暗い顔をしている。
鞠莉は自室のベランダから、果南に呼び出される。
ダイヤからイベントのことを聞いた果南はどうするつもりか鞠莉に尋ねる。
得票数が0だったことをダイヤに話すAqours。
そんなAqoursに見てくれる人たちを楽しませるだけの練習とパフォーマンスをしているが、それだけではもうだめなのだというダイヤ。
去年、最終的にラブライブ!にエントリーしたのは7236組、第1回大会の10倍以上でラブライブ!開催によって爆発的に増えた。
更にA−RISEとμ’sの活躍によってレベルの向上を生み、人気は揺るぎないものとなったためだ。
ダイヤは今回の得票数0だったことも、ダイヤたちが歌えなかったことも、仕方ないことだったと告白する。
2年前、浦の星女学院にはスクールアイドルがいたのだ。
ダイヤ、鞠莉、果南の3人は学校を廃校の危機から救うためにすでに活動をしていた。
町の人たちも応援してくれていた、上手くいっているようだった。
しかし他のパフォーマンスの凄さと会場の空気に圧倒され、何も歌えなかった。
千歌たちは歌えただけ立派だった。
ダイヤが今までスクールアイドルに反対していたのは、こうなることがわかっていたからだったのだ。
外の人に見てもらって、ラブライブ!優勝なんて無理だから辞めるべきだと鞠莉に強く主張する果南。
それでも諦めない、宝物だったあのときを取り戻すと泣きながら訴える鞠莉だった。
家に帰った千歌たち。
千歌は自分がしっかりしないとみんなが困ってしまう、と梨子に強がる。
ダイヤからスクールアイドルをしていたことを千歌たちに話したことを伝えられる果南。
帰り際、曜は千歌に尋ねていたが、千歌は何も答えなかった。
「千歌ちゃん、辞める、スクールアイドル…?」
千歌は部屋に飾ってあるμ’sのポスターに手を伸ばすが、Saint Snow、0を思い出し、伸ばした手を下ろしてしまう。
翌朝、梨子がベランダから外を見ると、浜辺に出て行く千歌の姿があった。
梨子は思わず外に出ると、千歌が海の中から姿を現した。
何か見えないか、海の中を潜っていたというのだ。
だが、何も見えなかった。
だから続けなきゃ、何も見えないままだから。
みんなで頑張って頑張って、輝きたいって、なのに0だったことがくやしいんだと大泣きする千歌。
千歌は自分が泣いたら、みんなが困ってしまうと思っていた。
そんな千歌を、梨子はやっと素直になってくれたと抱きしめ、千歌の下を訪れたAqoursメンバーは、小雨にもかかわらず、千歌の周りに集まる。
梨子は、今から0を1にできるかも知れない、その方法を知りたいという。
晴れやかな顔をした千歌は、部室のホワイトボードに「得票数0」の紙を貼り、みんなとの練習に向かう。
それより、3年生は果南ちゃんが歌えなかったにしては、喧嘩しすぎじゃない?何か理由があるみたいだね。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期8話】の考察
①「0」
いよいよ役者が揃い、舞台も整って「ラブライブ!サンシャイン‼︎」の物語が大きく動き出したのと同時に、1stシングルカップリング「Step 0 to 1!」との繋がりも感じさせる回だ。
練習を積み重ね、体育館でのライブを成功させた。
町の魅力にも気付いてPVも好評だった。
それでも全国トップクラスとの差は大きかった。
千歌たちの今までの努力は全て「0」だった。
だが、最初に見た「0」とホワイトボードに貼ったときの「0」は、Aqoursにも、視聴者にも、まったく見え方が違ったはずだ。
最初に目にした時に「0」はAqoursにとって絶望的なもので、全てを否定する象徴だった。
今までのAqoursの活動は「0」で、全国トップクラスの前に出れば全て無意味なものとも言える、残酷な現実だった。
しかし、それぞれがその現実を受け入れ、落ちるところまで落ち、再スタートを切ったAqoursにとって「0」梨子のセリフにもあったように0から1にできるかもしれない、その方法を知りたいというスタートであり、希望でもあった。
メンバーが悔しいという本音を共有できたからこそ、オフィシャルファンBOOKで酒井監督が言うように「Aqoursがほんのちょっぴり誕生した」のだ。
これからのAqoursの活動の中で、この「0」がキーワードになる。
輝きとは何か、そして輝きを追い続ける中で「0」を「1」にするためにどうするのか、Aqoursメンバーとキャスト、スタッフ、更にはファンも含めてスクールアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン‼︎」が本当に動きだした。
② 梨子、曜と千歌
視聴者の中にも、学生時代に部活動に力を入れた人がいるだろう。
どれだけ努力しても埋まらない圧倒的な力の差を見たとき、それでも本気になって立ち上がれる人がどれだけいるだろうか。
Aqoursのメンバーたちは、表面的な態度こそ違ってもそれぞれが本気でラブライブ!本戦出場を願っていた。
だからこそSaint Snowですら入賞できなかったこと、得票数が0だったこと、遊びじゃないと言われたことに落ち込んだ。
そして同じように本気の千歌のことを心配したのだ。
曜は、#3で「辞める?」と聞くと千歌は逆にやる気を出すのだと言っていた。
1番近くで千歌のことを見てきた曜だからこそわかることは、千歌も悔しい思いをしているはずだということと、それでも諦めないで続けていきたいということだ。
悔しいことは分かっている、それでも千歌と悔しいという思いを共有したかったのだろう。
いつもの千歌ちゃんなら、という期待を込めて、でもいつもと違うからどんな返事が返ってくるのか不安に思いながら、
「くやしくないの?」
「スクールアイドル、辞める?」
と聞いたのだろう。
結局、千歌の返事は曜の期待を裏切るものだった。
やれることをやったから胸を張ろうと言ったり、あるいは返事をしなかったりすることで、曜の中の不安はより大きなものになっていったに違いない。
千歌にしてみれば、その場にみんながいたからこそ、不安にさせてはいけないと思ってのことだったが、曜だから聞ける、でも千歌にとって1番聞かれたくないことだったのかも知れない。
μ’sのように輝きたいと願った千歌は、自室のμ’sのポスターに向かって手を伸ばすが、Saint Snowや「0」を思い出して手を下ろしてしまう。
輝きへと手を伸ばすが、厳しい現実を突きつけられて諦めてしまいそうになっている千歌の心情をそのまま表している。
そんな千歌を分かっているから、曜は千歌の言葉を待ってしまっている。
そして最初に千歌が本心を言えたのが梨子だったというのも、千歌の心の在り様が関係している。
オフィシャルファンBOOKの第8話解説でりきゃこや酒井監督が話している通り、千歌はメンバーのためにと思っていたが、梨子は千歌と運命共同体で、千歌と同じくらい悔しい、裏を返せば梨子だって千歌と同じくらい悔しい。
だから梨子は最後のシーンで泣いたし、千歌のためではなく、メンバーそれぞれが自分で決めたから千歌と同じくらいみんな悔しい、みんなと同じくらい千歌も悔しい。
千歌にとって、強がっていたのはAqoursメンバーを引っ張るため、つまりみんなのリーダーとしていなくてはならないと思っていた。
しかしAqoursメンバーにとって千歌はリーダーでもあるが、それ以上に自分たちと思いを共有する大切なメンバーの1人でもあった。
だから千歌が悔しくないはずないことは分かっていたし、そう振る舞わないことが不安だったのだろう。
千歌にとって、曜は近すぎて本音を言えなかったが、梨子は運命共同体だが、曜とは違う存在だから曜には言えなかった本音を梨子に言えたのだ。
③ 3年生と物語
ダイヤが以前3年生がスクールアイドル活動をしていたことを告白したことで、ついに3年生に降りかかった出来事と千歌たちの物語との関係が見えてくることになった。
はっきりと応援の姿勢を見せる鞠莉、逆に反対する果南、そして千歌たちのことを思って厳しくも優しいダイヤ。
それぞれの思惑があるからこその態度が、千歌たちを戸惑わせている。
なぜダイヤが反対していたのか、突然現れた鞠莉が応援してくれる理由、果南の様子など、今まで不思議に思うことが多い千歌たちだったが、3年生もそれぞれ思うところがあるからそれぞれの態度を取ることになっている。
ダイヤは鞠莉と同じように本当は応援したい気持ちもあり、しかし果南の思いも知っているからこそ、2人の間に立つことになったり、立場上嫌われてでも反対したりしているのだ。
自分たちが諦めたという過去と果南への思い、鞠莉への思い、スクールアイドルへの思いを全て飲み込んだ上で当初反対していたダイヤの心中は、とても複雑なものだったに違いない。
さらにそこに可愛い妹であるルビィが加わるのだ。
辛い思いをさせたくないが、反対することだけが正しいのか。
到底叶いそうにない夢に向かう思いをどう受け止めるのか、つまづいた3年生だからこそどう向き合うのか。
高校生にとって非常に辛いことだったはずで、視聴者だったら誰の立ち位置になるのか、誰に感情移入するのかで、物語の見え方も違ってくるだろう。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期8話】の感想
Aqoursの9人、Saint Snowという存在、「0」という現実。舞台が整ったことで、本格的に物語が動きはじめた。
視聴者はそれぞれの好みで好きなメンバーがいる一方で、それとは別に3年生の誰に感情移入できるか、1、2年生の思いをどう汲み取った上で誰の心に寄り添えるのかはまた違ってくるだろう。
そして「0」がもつ意味について考え、自分の過去の経験やこれからの自分の生き方とどう向き合うのかを考えることで、Aqoursの心をもっと深く理解することに繋がるはずだ。