大人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の【第1期】【第5話】である
#5「ヨハネ堕天」
…の私なりの「考察」をまとめてみました。
内容を知らない方のために
「あらすじ」「ネタバレ」「感想」
も合わせて記載しています。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期5話】のあらすじ
なかなかランキングが上がらず焦り始めるAqoursは、何か目立つことをして人気を集めよう色々と考える。
そんな中、入学初日から学校に来ていない1年生の善子が来ていたことに気づいた花丸。
善子は自己紹介に失敗してしまったことを気にしていたのだが、花丸は誰も気にしていないと教える。
普通の女子高生として生活する最後のチャンスと意気込み、「堕天使ヨハネ」が顔を出さないように監視をおねがいするが…。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期5話】のネタバレ
ここより下記はすべてネタバレ的な項目となるので、目を通す際にはご注意下さい。
動画サイトの生放送で「堕天使ヨハネ」として放送している善子。
放送終了と同時に嘆く。
「やってしまった、何よ堕天使って?ヨハネって何?リトルデーモン?サタン?いるわけないでしょ、そんなもーん!」
善子は高校入学を機に堕天使キャラを卒業してリア充になろうと決意していた。
しかし入学初日の自己紹介は、見事に事故紹介になっていた。
なんであんなことを言ってしまったのか、恥ずかしさのあまり悶えながら学校に行けないと悩んでいた。
Aqoursのランキングが中々上がらずに悩むメンバー。
新加入の2人の人気が上がっているが、そんなことよりもパソコンを目にしたことに感動する花丸。
花丸の家には電化製品が少ない。
そのため、花丸は以前沼津でバルブ(回すところ)がない蛇口やジェットタオルに感動していて「未来ズラ、未来ズラよ、ルビィちゃん!」と言っていた。
そんな花丸はパソコンの電源を勝手に落としてしまったり、インターネットに夢中になったりしてしまう。
屋上で練習を始めようとするが、人気を出すためにどうするかに話題が戻る。
名前をもっと奇抜なものにしようと提案する梨子に「スリーマーメイド」を蒸し返す千歌。
そしてマーメイドの設定に思いを巡らせるルビィと曜だが、恥ずかしさから忘れてほしいと言う梨子と、それをからかう千歌。
そんな様子を影から見ていた善子に気づく花丸と、その場からこっそり去る善子。
善子のことを心配している花丸は隠れていた善子を探し出す。
善子はクラスの子達が自分のことを変な子だと笑っているのではないか…と心配して登校できずにいることを告白する。
花丸は誰もそんなことは気にしておらず、どうしてこないのか心配していることを伝える。
それを聞いた善子は、普通の女子高生としてやり直すために花丸に協力を仰ぐ。
翌日、おしとやかな女子高生として登校する善子に周りが驚いている様子を見て、これならイケると善子は確信する。
学校に来たことを喜ぶルビィに、花丸は「堕天使が出たら止めるために監視をしてほしい」とお願いされたことを話す。
善子はクラスメイトに趣味を尋ねられると、周りに溶け込むチャンスだと占いを披露しようとする。
しかし、その占いは黒装束や黒い羽根、ロウソクを出し「堕天使モード」に入り込んでしまうもの。
結果、周りをドン引きさせてしまう。
やってしまったとスクールアイドル部の部室で落ち込む善子。
善子は中学時代から「堕天使ヨハネ」と自称していた黒歴史があり、そのときの癖が抜けきっていなかった。
善子自身は自分が堕天使なんかじゃ無いことはわかっている。
しかし、自分のアイデンティティであるからまだ持ち歩いていると言う。
善子はネットで占いをしている様子をAqoursに見られて、「普通の高校生になりたい」とAqoursに訴える。
千歌はその動画を見て目を輝かせて津島善子を「堕天使ヨハネ」としてスクールアイドルに誘う。
Aqoursは千歌の部屋で「堕天使アイドル」の準備をする。
ノリノリの千歌に押されて「堕天使アイドル」として協力することになる善子だった。
帰り道、千歌はみんな地味で普通だと思っていたが、みんなのことを知っていく中でそれぞれに特徴があって、魅力があって大丈夫じゃないかなと梨子に話す。
そんな千歌に梨子は「やっぱり変な人ね。」と言う。
どう言うことか尋ねる千歌に、梨子は地味で普通のみんなが集まって何ができるか、頑張ろうってことだと話す。
堕天使アイドルとして動画をアップすると、4000位台後半だったランクが900位台まで急上昇する。
特にルビィの人気が大きく、照れるルビィ。
しかし、ダイヤに呼び出されこういうのはただの破廉恥だと説教をされる。
実際に順位は上がっていると反論するが、こんなものは一時的だとダイヤに突かれる。
事実、ランクはすぐに1500位台まで落ちた。
失敗したと落ち込む千歌。
しかし善子は「悪いのは堕天使、高校生になって通じない、明日からは普通の高校生になるからスクールアイドルは辞めておく、堕天使に付き合ってくれてありがとう」と言って去っていく。
どうして堕天使だったのか、花丸は理解を示す。
あまり目立たず、これは本当の自分なのか、もともとは天使みたいにキラキラしているのではないか。
幼稚園のころの善子は「わたし、ほんとうは てんし なの。いつか はねが はえて、てんに かえるんだ。」といつも言っていた。
翌日、堕天使グッズをまとめる善子の表情は暗い。
堕天使を捨てようとする善子に、5人はAqoursに「堕天使ヨハネ」として入ってほしいとあらためて誘う。
しかし善子は、昨日話した通りダイヤにも怒られたと断って走り逃げる。
善子を追いかけながら、千歌はどうしてμ’sが伝説を作れたのかを語り、説得する。
ステージの上で自分の好きを迷わずに見せることなんだ。
どう思われるかじゃない。自分が1番輝いている姿をみせることなんだ。
堕天使を捨てちゃいけない、自分が堕天使を好きな限り。
儀式するかも知れない、リトルデーモンになれって言うかも知れないと迷う善子。
5人はちょっとくらいなら我慢するが、嫌だったら嫌だって言うと微笑む。
こうして善子はAqoursに加入することを決める。
そんな中、ダイヤは鞠莉から送られてきたメールの内容について問い詰める。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期5話】の考察
① 善子の変化
今回は善子にスポットが当たる。
キャラの初期設定が公開された段階から「善子は重度の厨二病」と思われていた。
それだけに、OPの「リア充に、わたしはなる!」と言って悶える姿は意外だった視聴者は多かったはずだ。
オフィシャルファンBOOKの39ページで酒井和男監督が語っていることが正に全てで、厨二病の善子がスクールアイドルをするための動機付けは難しい。
親が学校教師という点から、善子がかなりの現実を見ている常識人で空気を読める、かつ根は優しい普通の女の子ということは想像が付く。
しかも名前は今時らしくない「善子」。
しかしだからこそ自分は普通ではない、キラキラした特別な存在=天使なんだと思いたいのだ。
そして初期設定からもある通り、自分の不運と結び付けて堕天使、という発想に行き着いたのだろう。
ちなみに、G’zの連載漫画のあらすじでは、善子のことを「美少女」とはっきり明文化している。
実際、ラブライブ!シリーズの公式絵の中ではメディアを問わず唯一鼻筋をはっきり書かれている。
(話の流れ上ではなく)、他のメンバーから「凄くかわいい」とはっきり言われたのは真姫とAqoursの1年生たちだ。
さらに言うと、善子は1年生ながら「美人」とまで言われたこともある(漫画版)。
本人は「自分が可愛すぎるから」と不幸を引き寄せる体質を説明しており、自己顕示欲が強いことを伺える。
親が学校の先生であるため、常識人であること。
それゆえに地味な普通の女子高生でいたくない。
みんなから注目を浴びたい。
しかし上手くいかない不幸体質をどう説明するのか。
そこから「堕天使」になったのだろう。
Second Fan BOOKの55ページによると「このヨハネが堕天した中学1年生の時から——サンタクロース的クリスマスプレゼントはもらってない」と言っている。
親は「中学生になったし」ということでプレゼントを止めた。
善子も「サンタはいないんだ」と現実を見ようと思いたいが、まだ特別な存在でいたいという葛藤の末に「堕天した」といって現実を見ないことを選んだのだろう。
そんな善子が、高校入学を機に現実を見て自分を変えようと思うのも当然だろう。
しかし事故紹介からの学校復帰の際に「みんな前のことは覚えてないようね」と心の中で呟いている。
むしろ忘れるはずがないことなのに、その辺りを自分の都合の良い方に解釈するあたりもまだまだ厨二病と言わざるを得ない。
まわりの友達も、
「津島さんって名前なんだっけ?」
「確か…ヨ…ヨハ…」
と切り出そうとしていて、どう接すれば良いのか判らずにいた。
善子は自分に無理をしてクラスに溶け込もうとしたが、結局はうまくいかない。
教室でロウソクに火を点けているため火災装置が気になるところだが、ロウソク1本程度をあの短時間だけの点火ならば反応することはないようだ。
その後にご都合主義のようにAqoursの部室に逃げ込む。
これはそのときにちゃんと相談できる相手が花丸しかいなかったため、花丸についていった結果、部室にいることになったのだろう。
ダイヤに叱られた後の港のシーンでは、去り際の「ありがとう」まで顔を見せなかった。
善子は高校生にもなって通用しないと言いながらも、強がっている顔を見せたくなかったこともあるだろう。
そして「表現として顔を向けない=正面を向いていない=本心ではない」ということも考えられる。
しかし、最後の「堕天使に付き合ってくれてありがとう」は本当に感謝していたからこそ顔を見て言えたし、顔を見て言いたかったのだろう。
この辺りに善子の「善し子」たる所以を感じさせられる。
翌日のチェイスでは、沼津市内を走り回ることになる。
現実的に考えたら、一応練習をしている5人に対してインドア派の善子があれだけ走り回ることはかなりの無理がある。
しかし、#2の最後のように、誘いをなんとか断ろうとする善子、それでもしつこく言いよるAqours、そして最後は善子に追い付くことができた。
(その場所が広い海へと続くびゅうお…と思ったら、びゅうおは東海地震から沼津を守るための水門。広い海へと出発する場所という象徴にするには無理があった。深読みし過ぎか。)
そして、善子はAqoursにいきなり儀式とか始めるかも、リトルデーモンになれって言うかもと戸惑いながらも言う。
ここでAqoursはちょっとくらいなら我慢する、でも嫌なら嫌ってはっきり言うと告げたのだ。
きっと「堕天使ヨハネ」と自称してきた善子に面と向かってツッコミを入れてくれる人がいなかったのだろう。
千歌の言葉にハッとして、自分の堕天使を受け入れ、ときにはちゃんと現実に戻してくれる本当の友達を得ることになったのだ。
今までの善子は、相手が堕天使を本当に受け入れてくれているのか、実は陰で笑い者にされているのではないか、だとしたら笑われたくない、普通の女子高生になりたいという思いで一杯だったのだろう。
嫌なら嫌だって言ってくれるということは、裏を返せば自分の堕天使を嫌がらずに付き合っていくことでもある。
きっと善子はそう感じたから、千歌から黒い羽根を受け取って、Aqoursに加入することを決意したのだろう。
② 花丸と電化製品
「未来ずら!」
これはもはや花丸の代表的な言葉になった。
練習時間が押してしまうほどパソコンに夢中になっており、その後の「私たち、ファイブマーメイドです!」のときにもパソコンを一生懸命いじっている。
技術担当じゃない(むしろ絶対向かない)のに集合絵で触っている。
それにしてもプールサイドに座りながら、あの曲面しかない脚(尾?)の上にパソコンを乗せるのは自殺行為に等しい。
せめて人間の脚ならまだ安定しそうだが…。
この先、携帯電話などを持っているシーンが時折出てくるが、きっとその度に感動したのだろう。
凛ちゃん曰く、「毎日同じことで感動できるなんて、幸せ」そうだ。
③ 梨子の犬嫌い
G‘zの公式初期設定では犬嫌い(恐怖症)はもともとルビィのものだったが、アニメではっきりと梨子に移された。
それにしてもベランダからベランダへ跳ぶのは現実的に無理がある。
やはりそれだけ犬を怖がっていて、自分にとってくつろげる場所=自分の部屋に逃げ込むということの暗示だと捉えられる(こじつけ)。
梨子は犬が苦手だが、しいたけはどうやら梨子のことを非常に気に入っているようだ。
実際、犬に好かれる人の特徴として、
「穏やかに話す人」
「動作がゆったりしている人」
「犬が自分よりも格上とみなす(ボスの器がある)人」
ということが挙げられることが多い。
最初の2つはどちらも梨子の性格に合っている。
最後の1つはツッコミ役=仕切り役という解釈がなされているのかも知れない。
ここで言っておきたいのは、別に千歌に器がないということではない。
梨子の母性的な面をしいたけは少ない接触ながら感じ取ったのだろうということだ。
また、旅館という見知らぬ人が多く出入りする家だから、人見知りする犬でもない、つまり人懐っこいということも考えられる。
もしかしたら飼い始めた当初は、今でこそ慣れたが志満姉にも梨子同様にベタベタしていたのかも知れない。
志満姉は穏やかだが、母親不在の中にも関わらず長女として十千万を切り盛りする器量もある。
美渡姉が普段の世話をしているが、しいたけの中では美渡姉以上に志満姉がランクインしているのかも知れない。
④「変な人」
#2で梨子が千歌に言った「変な人」。
あれからライブを行い、自信をもてずにいた1年生を勧誘し、梨子の中の「千歌像」も更に変わってきているだろう。
この回のランキングが上がらなくて悩んでいるときに、千歌は海や山、そして自分を指差して「地味!アンド地味‼︎アンド地味‼︎!」と言っていた。
しかし、梨子は自らを「普通怪獣ちかちー」だと揶揄する千歌のことを、普通とは思っていない。
それは「変な人」の一言に集約されている。
#5の「変な人」は、メンバーがAqoursに加わる最後の一押しをし、個性を引き出すのが千歌であることを見てきた梨子の思いが込められているのだろう。
千歌は穂乃果と比べると、前向きにぐいぐいと進んでいくなどの共通点がある。
その一方で、自分が「普通」であるということへのコンプレックスを強くもっていた。
だからこそAqoursとして活動していく中で大きく成長していく。
また、その千歌に引っ張られるように「地味で普通」だと思っていたメンバーが「自分の好き」を迷わず表現していく姿へと成長していく。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」【1期5話】の感想
千歌や花丸など自分が普通で目立つことは向いていないという悩みと善子の普通でいたくないという悩みは、正反対なようで自分を模索する思春期に誰もがもつ悩みとして根本的に同じだ。
表面的には違えど、花丸・ルビィ加入と善子加入が続いていることで、自分の思春期を思い出し、共感を覚える。
そして、無印でもそうだったが、ママライブのキャストが豪華だ。
声優として駆け出しが多いラブライブのシリーズでは、無印から恒例になってきているが、新人が多くなる現場の中でベテランといわれる声優との接点をもたせ、声優界での繋がりやベテランのレコーディングを見る機会を作っている制作スタッフの優しさを感じる。